この世界は残酷なほど美しい


「奈緒子は何を考えてるのか分からないや。好きってどういうこと?僕ぜんぜん分からないんだよね。奈緒子に『僕のどこが好き?』って聞いたら『言い出したらキリがない』って言われてさ。」




「なんかその答え委員長らしいな。好きっていうのは…相手のことをずっと考えたり、一番に助けたいと思ったり、一緒にいて落ち着いたり…俺もあんまよくわかんないけど好きになる理由なんていらないっしょ」




蓮も奈緒子と同じことを言った。
好きには理由なんて要らないのか。
そう考えたら何だか無性に莉子に逢いたくなった。




「そういえばさ、昨日爺ちゃんと病院に行ったんだ。婆ちゃんの見舞いに。そしたら転校生の安野莉子を見かけたんだ」




「え!?どこの病院?」




「ちょっと離れた総合病院。」



蓮の話が本当ならばやはり莉子はどこか悪いのかもしれない。僕にちょっとだけでいい、ちょっとだけ誰かを助けられる力があるのならば、僕は莉子を助けたい。



そう願ってはダメでしょうか?



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