この世界は残酷なほど美しい
奈緒子を取り囲み、二人の女子が困った顔をしている。
奈緒子はどうやら泣いているようだった。
クラス委員をしている奈緒子は優秀で何事の行事も真面目にこなす優等生だ。
僕とはあまり接点はないが挨拶をされたら返すくらい。
ショートカットがこんなにも似合うのは奈緒子しかいないと思う。
少し短めの前髪は大きな瞳を目立たせる。
色白の肌に落とされたピンク色のチークがこれまた可愛く彼女を演出する。
はっきり言って奈緒子は可愛いと思うけど僕には興味がなかった。
「本当にヒドイよね。何様だと思ってるんだろう」
「奈緒子、もう泣くのはやめなよ。奈緒子は悪くないんだから」
聞こえてくる彼女たちの会話。聞きたくなくても聞こえてくる。
僕は聞こえなかったフリをしてこの場から去ろうとした。
その時だった。
さっきまで下を向いていた奈緒子が顔を上げて僕と目があった。
「……あ…。」
こう小さな声を漏らしたのは僕が先だった。