この世界は残酷なほど美しい
神様、何をしたら僕は誰かの大事な人になれますでしょうか?
神様、僕はどうしたら大事な人を助けられますでしょうか?
聞いても聞いても神様からの答えなどなく、気づいたら信じるものは自分しか居なかった。
静かなロビーに広がる僕の声。莉子のお兄さんはこちらに近づき、僕の腕を掴んだ。
「こっち来て。」
反抗せずに黙って後をついていく。
着いた場所は病院内の喫煙所だった。
そこは屋根のない屋外にあった。
ベンチにお兄さんは座る。
そしてポケットから煙草を取り出した。ちらりとその銘柄を見ると僕の知らない外国の煙草だった。
それを抵抗なく吸うお兄さんがどこか洒落て見える。
「キミは、莉子の友達?確か、この前会ったよね?学校前で」
「あ…はい。莉子のクラスメートの坂井流星です」
「俺は安野健太。莉子の兄。最初に言っておくよ」
煙草からの煙が空高く昇っていった。
「キミには莉子は救えないよ」