この世界は残酷なほど美しい


莉子の部屋はあまりにも暗かった。
電気を点けると言葉を失ってしまうくらいそこは荒れ果てていた。
散らばった写真を取ると、俺とのツーショット写真。
だが莉子の顔は赤く塗りつぶされていた。



「莉子?」と呼ぶと莉子は体を抱えて震えている。
俺が知っている莉子はここにはいない。
母さんに問い詰めると母さんは「知らない、お父さんがやったから」と言った。
まさかあんな温厚な父さんがやるはずがない。
と信じたくなかったが「父さん」と言う単語を出すと莉子は過呼吸を起こしそうになった。


父さんは莉子に何かをしたんだ。
したことは深くまで聞いていない。
とりあえず莉子をここから連れ出さなきゃと思ったから。


もし莉子もあの時俺と日本に残ったのなら、こんなことにはならなかったのに。

俺が悪いんだ。


俺が莉子のすべてを奪ってしまったんだ。




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