この世界は残酷なほど美しい
美羽お姉さんと出逢ったのは最近のことだ。
私が廊下を通ったときふとこの病室を覗いたのだ。
そこ美羽お姉さんはいた。
窓側のベッドに、空を見上げて座っていた。
その後ろ姿が今にも泣きそうでまだ覚えている。
私はあまり人と話すのが得意ではないが勇気を振り絞り話しかけた。
「お姉さん、どうしたの?」
「悲しいときは空を見上げるとご褒美がもらえるの。だからね、空を見てるの」
「悲しいの?どこか痛いの?」
「うん、ちょっぴりね。悲しいかな。私ね、坂井美羽っていうの。お嬢ちゃんのお名前は?」
「私は…馬渕奈緒子」
「奈緒子ちゃんか。私ね退屈してるの。遊んでくれない?」
美羽お姉さんの笑顔が可愛くて眩しくて。
私は迷わず首を縦に振った。
お姉さんとはいろいろなことをして遊んだ。
お絵かき、トランプ、お喋り。
そして星形の折り紙。
星の折り方を教えてくれたのは美羽お姉さんだった。