この世界は残酷なほど美しい
日記を持って家路につく。
どこか心が軽くなった気がした。
だからこんなにも足取りが良かったのかもしれない。
ちょっと鼻歌でも歌おうか。
莉子が好きなあの童謡。
でもちょっと恥ずかしいからやめた。
あの歌は莉子の持ち歌だ。
だから莉子に歌ってもらおう。そうした方が心が洗われるから。
家に着き、僕は母さんの部屋に向かった。
電気をつけると僕に「おかえり」と言われたような気持ちになった。
だから僕は「ただいま」と言う。
本棚にしまってあったある写真集を取り出す。
それは、父さんが母さんのために残した写真集だ。
“Memory”
―…あの約束を覚えていますか?
父さんと母さんが交わした約束。
それは…
天国までずっと一緒。
震える手で僕は一ページ目を捲っていく。
久しぶりだね、母さん。
今までここにいたんだ。