この世界は残酷なほど美しい
僕は蓮のいる窓際に足を運んだ。
「…今日の子はどんな子だったかな。顔も思い出せないや」
だって空ばかり見てたから。
そう言うと蓮は手を叩いて笑っていた。
「流星、これで何回目だよ?いい加減彼女作ったら?だからお前変な噂が流れるんだぞ?」
蓮は持っていた割り箸を僕に突き出した。
ちょっと、やめろよ。
こっちに箸を向けるな。
「変な噂って?」
僕は蓮のお弁当から卵焼きをひょいっと取った。
蓮の家の卵焼きは甘くて好きなんだ。
「流星は実は男が好きだって噂!しかも相手はこの俺!やめてくれよ…」
…何だそれ。
誰だよそんな噂流したの。
「ふぅん、良かったじゃん。じゃあ蓮、僕と付き合う?」
冗談混じりに言うと蓮は本気と捉えたのか顔を真っ赤にしていた。
「お前馬鹿じゃねぇの。俺は男と付き合うほど、困っていません」
「そんな噂、本気にするヤツの方がおかしいよ」
「まぁ、そうだな。だけど流星にいつ彼女出来るんだろ…」