この世界は残酷なほど美しい


あの日のことを忘れることなんて出来なかった。
そして母さんが最後に言った言葉の意味も、まだ僕には分からなかった。
それが未だに子供という証なのか。
だからちょっとでも早く大人になりたかった。



だけど平凡だった僕の生活がちょっとずつ変わろうとしていた。


再びイヤホンをはめて音楽を聴く。
ドラムの音に集中してみたり、ベースの音に集中してみたり、ギターの音に集中してみたり、歌詞の意味を考えてみたり、僕はそんな音楽の楽しみ方が好きなのだ。

気に入った曲を何度もリピートして、歌詞を全部覚えるくらい聴き倒して、それがたまらなく面白い。

よく人に「変わった価値観してるね」と言われる。
だけど僕はそれが褒め言葉なのか侮辱の言葉なのか、どちらかは分からない。
だって一人一人にその人にしか無いものを持っているから。

それが僕の場合「変わった価値観」なのだ。
ということは褒め言葉なのか。解決しちゃったじゃないか。



音楽に集中しながら僕は授業が始まる少し前に席を立った。




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