俺様王子の秘密
お祭り会場は、ものすごく混んでいた。
うわっ、酔いそう……。
「酔いそうだな、ここ……」
同じことを思っていたのか、悠斗が面倒くさそうに呟いた。
ってかあたし、さっきから悠斗にドキドキしっぱなしなんですけど……。
「じゃあ、俺達そこらへんの売店見て回るから。またあとで!!」
そう言って、いつのまにかどこかに行ってしまった美保と宏平クン。
ふ、二人きりってやつ……?
「とにかく……どっか行こうぜ」
そう言って、あたしの手を掴んで歩きだす悠斗。
ちょっ、二人きりの下りはスルー? なんでとめないの!?
ねぇ、ちょっと!!
それから、ずーっと歩いてます。
多分、悠斗は何の目的もなく歩いてるんだと思うんだけど……。
「どこ……行くの?」
念のため、聞いてみた。
「どこ行きたい?」
普通に答える悠斗。
解答権をあたしに回されても困る。
「んー……」
考えてると、ヨーヨー釣りを見つけた。
小さい子供たちが、騒ぎながら針に吊されたティッシュでシリコン性のヨーヨーを釣っている。
「あたし、あれがいいな」
指を差しながら悠斗に言うと、『じゃあ行こうぜ』と、悠斗は歩き出した。