引っ込み思案な恋心。-2nd





「説明書読むのメンドーだし。柚の説明の方がよっぽど頭に入るだろ。それに二人で同じ携帯持ち寄って話をしてるだけでも楽しいと思う」



「うん。なんか、同じ機種って気付いて嬉しかったかも」



「だろ?あんまり会えないからこそ、つながりが欲しいよなー。これで毎晩柚にメールできるし」



「拓、部活でヘトヘトなんじゃないの?無理しなくていいよ」



「だからメールだよ。さすがに長電話とかは勘弁な」






微笑んだ拓の顔が、私が前に見た時よりも日焼けして黒くなった気がする。





…一生懸命部活を頑張ってる証拠なんだね。








「今度、部活で合宿があるんだよ。2泊3日で隣の県に行ってくる」



「そうなんだ?」



「たぶん夜はメールできるハズだから。ま、すぐに帰るし」



「うん…」






部活の合宿かあ…。





『部活』という言葉を聞いた途端、いきなり私の頭の中を松沢さんの顔がかすめた。





しかも合宿なんて…、どう考えても私より松沢さんの方が拓との距離が近くなるよね…?







「…どした?やっぱ寂しい?」



「あ、いや……、大丈夫」






…とは言ってみたけど、小さい不安はどんどん大きくなっていく。






あれから拓は松沢さんのことは何も言ってこないけど……





やっぱり…、大丈夫じゃないかも。。。





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