引っ込み思案な恋心。-2nd

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翌日、体育祭当日──…。






私が昨日あれだけ悩んでも、空は気持ちがいいくらいの体育祭日和。






「はよー、柚」



「………あっ、おはよう拓」







澄んだ青空の下、予定通り体育祭の開会式が終わり、各自入場門や応援テントなど、自分の行くべき所にバラバラと歩き出した。






私も人の流れに乗って自分のクラスの応援テントに向かって歩いていたら、いきなり拓に話しかけられて肩を掴まれた。






「柚、昨日どーした?メール…、返信なかったみたいだけど」



「えっ!?」






お互いが携帯を持ち、連絡先を交換してから、私達は毎日『おやすみメール』を送り合っていた。






そう言えば……




昨日色んな事考え過ぎて、携帯にまで意識が行ってなかった…。。。






「あっ、いや…、勉強に集中してたかも……」



「え?体育祭の前の日まで勉強かよ?別に今日は授業ないんだし、やらなくてもいんじゃねえ?」



「ホントにごめん…、気付かなくて」



「あ〜、まあいいや。そんなトコが柚らしーよな。午前中、むかであるだろ?応援してっから!」



「うん。私も応援してるね」



「おう、見とけよ〜。まずは徒競争で1位だな」






こんな小さな嘘でも、何の疑いもなく私に笑いかけてくれた拓を見て、少し切なくなった。





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