引っ込み思案な恋心。-2nd
「倉本ー!頑張れー」
「倉本くん!」
確か…、去年の体育祭では、恥ずかしくて応援の声すら上げられなかった。
だけど今は、映美佳やクラスのみんなと一緒になって応援できてる。
これだけでも…、私が少し成長した証拠になるかな?
「あ〜、3位かあ。ビミョーなところが倉本だよね〜」
「あははっ。微妙って!」
「まあ、あゆは確実に1位取れるよね〜。なんてったって、うちのクラスの女子で1番速いんだから」
「…あれ?あゆ、あかねちゃんと対決じゃない?」
倉本くんが走り終わって男子の部が終わり、続いて女子の番。
待機している列をよく見てみると、2番目にあゆとあかねちゃんが並んでいるのが見えた。
「あ、ホントだ。うわ〜、キツイ戦いだよね」
「どっちも応援しなきゃ」
私達がそう話していると、すぐにあゆ達の出番がやってきた。
パンッ!
あゆ達が一斉に走り始めた。
最初は5人の選手が横一線だったけど、途中からあゆが少しずつ前に出てきた。
「あゆーーーっ!」
「頑張って、あゆ!」
「……そしてあかねちゃんも…」
さすがに今回はさっきの反省を踏まえて、あかねちゃんを小さい声で応援したんだけど…
うちのクラスの女子ナンバーワンの速さを誇るあゆが走っているということで、この応援テントもかなり盛り上がっていて、私の小さい声はあっという間にかき消された。
もしかして…、普通の声で応援しても大丈夫だった???