引っ込み思案な恋心。-2nd
さすがは陸上部員、スタートダッシュが他の走ってる人と比べ物にならないくらい速い。
去年と比べると背も高くなったせいか、ストライドの幅が大きくなった気がする。
素人の私が見ても、拓の走りが去年とは全然違う…!
もっともっともっと、カッコよくなってる!!
「は〜っ、さすが瀬川だね。他の男子がしょぼく見える……」
「拓ーーっ!」
「ちょ……っ、柚!」
「え?」
……はっ!
拓の走りを見て興奮しちゃったら、いつの間にか大きな声を出してたよ。。。
映美佳に言われて周りを見ると、クラスメイトの冷めた目が見えた。
「ごっ、ごめん…」
「あ、でもうちのクラス2位じゃん。瀬川とはだいぶ差がついちゃったけど」
拓はまるでゴールまでが一瞬のような感じで走って行って、それから何秒も遅れてうちのクラスの男子がゴールしていた。
映美佳がその様子に気付くと、周りのクラスの人達は「それでも2位だー!」とまた盛り上がっていた。
「もー、だから応援は小さくって言ったのに」
「拓が走ってると思ったら、つい…」
「次は倉本だねー」
映美佳に言われてスタートの方向を見ると、倉本くんがスタートラインの辺りで待機していた。
拓の走りの余韻に浸っていたかったんだけど…
次の空砲はすぐに鳴らされた。