引っ込み思案な恋心。-2nd





「あそこまで応援してくれてるんだから、本気出して頑張らないとね〜」



「やりすぎだよ、拓……」






やっぱり見るんじゃなかった。





ドキドキが全然止まってくれない。





こんな所でコケて恥かきたくないよ…!









前の組の競技が終わり、ついに私達の出番となった。






パンッ!






空砲が青空に鳴り響き、むかでの先頭の男子が「せーのっ!」と大声を出すと、私達はそれに合わせて「右っ!左っ!」と声を出し、足を動かし始めた。







出だしは上手く行った。





あとはこのまま練習通りにすればいい。






自分でも掛け声を出しながら、合わせて足もリズミカルに動かす。





周りの様子を見る余裕すらない。





私はただただ、前に並んでいる映美佳の背中だけを見つめていた。








「柚ーーーっ!頑張れー!!」






中盤まで進んだ時、拓の大声が聞こえてきた。





拓が見てる…!





ああ、見られてると思ったら、また緊張が。。。






拓の応援を背に受けながら、私はとにかくコケてしまわないように必死に足を掛け声に合わせた。









「右っ!左っ!右っ!………ゴール、ストップーー!」






私の身体がゴールラインを通り過ぎ、やっと足を止めることができた。






足の紐をほどきながら周りの様子を見ると、どうやら私達は2位に入ったみたいだった。






「うちら2位じゃん!すごいすごい」



「よっしゃー、みんなお疲れ〜」






意外とそんなに速かったんだ。。。





私、個人でも2位とか入ったことなかったんだけど…。





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