Dear My Brother
きっと私の視線は、どう考えても実の兄に向ける視線ではないと思う。
冷やかで、でも憎しみにも似た感情が交わった視線。
「おまえさ、大学行くにしろ就職するにしろ、免許取ったらこれ乗ったら?」
話している間も洗車をする手は止めずに、兄は私を一瞥する。
「バイクなんて乗らないし。ていうか、それ乗らないなら邪魔だから処分してよ」
「そうかよ」
嫌悪感丸出しの私の口調に、兄の返事はたったそれだけ。
それでも私たちにとっては半年分以上の会話だ。
それ以上は何も話さずに、私は玄関の扉を荒々しく閉めた。

バイクか。
まぁ便利だよね。
私も16だし、原付免許なら取得できるんだよね。
取っておこうかな・・・
兄の意見に流されるようでめちゃくちゃイヤだけど・・・

そうと決まれば動きは軽やかに。
兄に相談するのはイヤなので、ネットで原付免許の取得の仕方を検索。
それは思いのほか簡単そう。
私は夏休みを利用して、兄にも家族にも内緒で原付免許を取得する決意をしていた。
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