漆黒の姫君


「お待たせ致しました。」

そう言ってメネッタは愛里の前にドン、と水の入った水盤を置く。水は置かれた振動で波打った。



「陛下、これを覗いて下さい。」


「…?」


こんなものを覗いて何か分かるの?と思いつつ、愛里は言われるがままに水盤を覗いた。すると不思議な事に波紋を広げていた水は静まり、波一つ立たなくなった。






ポワァ、と水盤から柔らかな光が零れ出す。愛里はその包み込まれるような光に自然と引き寄せられる。


やがて光は眩しく感じる程までになり、一拍置いてその全ての光が収まった。



『……ぃか…陛下…。』


水盤から鈴を転がしたような声が聞こえた。



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