『霊魔伝』其の壱 木の章
百合がたまらずに聞いた。零次朗は首を振った。
「いや、逆だよ。その猫は、守ろうとしているんだ。
先生の両親はなかなか子供に恵まれず、
子供の代わりに迷い込んできた猫を子供のように、大事に可愛がっていたんだ。
その猫は、年老いて身体が弱り、死に場所を捜していたらしい。
わずかな時間だったけど、家族のように接してくれた両親に恩返しをしたいと思いながら、
息を引き取った。
その時には先生がお母さんのお腹の仲にいたんだ。
その猫は、先生の守り神となっているんだ、その時からね。」
「じゃあ、何故写真に写っているの。まるで鬼のように。」
「それは、先生を守るために必死になっているから。
先生に強い恨みをもっている存在がいるんだ。」
淳子は引き出しから、もう一枚の写真を取り出した。それをテーブルの上に置いた。
「あっ、猫だ。」
百合が叫んだ。写真には眠っている猫が写っていた。
「これは、私が生まれる前にいたチャミという猫。
小早川君が言ったように、迷い猫が来たのだけれど、だいぶ弱っていたらしいの。
あまり動けず、寝てばかりだったそうよ。
でも、母が面倒を見てあげて、元気を取り戻したみたい。
けれど寿命には勝てず、静かに息を引き取った。これは母の残した日記に書いてあったわ。」
「日記があるのか。そこに何かヒントになることが書かれていないかな。
生まれる前から、恨まれるなんて考えられない。」
「いいえ、そんなことは書いてなかったわ。何度も読み返したのよ。
人に恨まれるような両親ではなかったはずよ。」
小太郎が耳元で囁いた。
《零次朗。そのチャミという猫、ずっと付いているぞ。学校でも、この部屋でも。》
「ああ、それは感じている。小太郎、そのチャミと話ができるか。
もしできれば、聞き出してくれ。先生を恨んでいる相手が誰かを。」
《わかった。》
小太郎は姿を隠しているチャミに向かった。
独り言のようにぶつぶつ言っている零次朗を見て、百合は眉をひそめた。
「どうかしちゃったのかしら。さっきもそうだけど、理解できないことばかりね。
小早川君て、うわさ以上に変態。」
「うるさいな。だから嫌だったんだよ。おまえが来るの。俺は変態じゃない。」
百合に怒る零次朗を淳子がなぐさめた。
「いや、逆だよ。その猫は、守ろうとしているんだ。
先生の両親はなかなか子供に恵まれず、
子供の代わりに迷い込んできた猫を子供のように、大事に可愛がっていたんだ。
その猫は、年老いて身体が弱り、死に場所を捜していたらしい。
わずかな時間だったけど、家族のように接してくれた両親に恩返しをしたいと思いながら、
息を引き取った。
その時には先生がお母さんのお腹の仲にいたんだ。
その猫は、先生の守り神となっているんだ、その時からね。」
「じゃあ、何故写真に写っているの。まるで鬼のように。」
「それは、先生を守るために必死になっているから。
先生に強い恨みをもっている存在がいるんだ。」
淳子は引き出しから、もう一枚の写真を取り出した。それをテーブルの上に置いた。
「あっ、猫だ。」
百合が叫んだ。写真には眠っている猫が写っていた。
「これは、私が生まれる前にいたチャミという猫。
小早川君が言ったように、迷い猫が来たのだけれど、だいぶ弱っていたらしいの。
あまり動けず、寝てばかりだったそうよ。
でも、母が面倒を見てあげて、元気を取り戻したみたい。
けれど寿命には勝てず、静かに息を引き取った。これは母の残した日記に書いてあったわ。」
「日記があるのか。そこに何かヒントになることが書かれていないかな。
生まれる前から、恨まれるなんて考えられない。」
「いいえ、そんなことは書いてなかったわ。何度も読み返したのよ。
人に恨まれるような両親ではなかったはずよ。」
小太郎が耳元で囁いた。
《零次朗。そのチャミという猫、ずっと付いているぞ。学校でも、この部屋でも。》
「ああ、それは感じている。小太郎、そのチャミと話ができるか。
もしできれば、聞き出してくれ。先生を恨んでいる相手が誰かを。」
《わかった。》
小太郎は姿を隠しているチャミに向かった。
独り言のようにぶつぶつ言っている零次朗を見て、百合は眉をひそめた。
「どうかしちゃったのかしら。さっきもそうだけど、理解できないことばかりね。
小早川君て、うわさ以上に変態。」
「うるさいな。だから嫌だったんだよ。おまえが来るの。俺は変態じゃない。」
百合に怒る零次朗を淳子がなぐさめた。