『霊魔伝』其の壱 木の章
錦部との戦いの後、一週間が過ぎた。完全に決着が付いたわけでもないが、それなりの終わりを迎えた。

この一週間零次朗は後始末に追われた。
田嶋理恵子には、事情を話した。そして貯水槽で発見された遺骨の中に理恵子の骨もあり、成仏させることができた。
塩原淳子にもすべてを話し、チャミの霊を供養した。

永田百合もギプスをしながらも退院をし、学校へ通い始めた。再び笑顔が戻り、元気を取り戻した。零次朗は責任を感じ、毎朝百合を迎えに行っている。
それを良いことに百合は、零次朗を召使い扱いをするようになった。

少しずつ平常に戻り始めていた。

しかし、零次朗の心の中では、不安が拭えなかった。逃げた錦部、いや錦部の身体を乗っ取っていた邪悪な存在がいつ戻ってくるか、それが気がかりだった。

「なあ、小太郎。あいつはまた戻ってくるのかな。」
《ああ、きっと戻ってくる。この世には、必ず正反対のものがある。それは切っても切れない関係。それでバランスが取れている。ただ、それが偏るとバランスが崩れて、世の中が乱れるのだ。》

「そうか。でも小太郎と龍太がいれば、きっと勝てるさ。」
《そうだ、零次朗おまえがいれば、俺たちは無敵だ。しかも、零次朗は須佐一族の血が流れているらしい。たいしたものだ。龍の一族を唯一扱える一族だ。龍太も零次朗と出会えて良かった。》
「そうなのか。」
胸の中にいる龍太に聞いた。
《零次朗殿、その通り。我々龍の一族は、媒体が無いと固定化できない存在。しかし、資格がある者としか契約できない。零次朗殿にはその資格があるということだ。須佐の血を受け継ぐ者がその唯一の資格者。》
「俺はただ、家族や友だちと平和に暮らせればそれで良い。」
《そうだな、零次朗。いつまでも仲良くだな。》
「そろそろ、永田さんを迎えに行くか。」
《召使いだからな。》
「それを言うなっていっただろう。小太郎」



『霊魔伝』其の壱 木の章 完
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