永遠の約束-聖母の涙-
「実は、何人もの優秀な人材を派遣しているんだ。
だけど、その成果どころか、敵がどのような能力を持っているのか、はたまた、能力者なのかどうかさえも調べることができなかった」
「―――証拠を残していないというわけですか?」
「簡単に言えば、そうだね」
「そして、松下さんはそんな難解な事件を私に頼みたいと―――…。
それでいいですか?」
松下はクスッと笑う。
「さすが深青ちゃん。話が早いね」
「松下さんが、わざわざ家に来た時点で何かがあるとは予想していました。
そして、事件の話をされた時点で、依頼の話なのだろうということも………」
松下の顔を見て、深青もクスリと笑ったところで今まで黙って茶菓子を食べていた唯香が立ち上がる。
「ちょ、ちょっと待ってよ!」
「―――ん? 何? 突然?」
いきなり立ち上がった唯香を深青は見上げる。
「もう!
お姉ちゃんは何をそんなに落ち着いているわけ!?
依頼だよ?
殺人事件なんだよ?
人が死んでるんだよ?
そんな危険な仕事を、易々と受け入れないでよ!」
「唯香……。
私はまだ、引き受けるとは言っていないわよ」
「え…? あれ? そうなの?」
「そうなのかい? 深青ちゃん」
てっきり今の話の流れ的に、引き受けてくれると思っていた松下は驚く。