永遠の約束-聖母の涙-
「はい……。
松下さん、私は如月深青ではありますが、正当な如月神社の後継者ではなくなったんです。
理由はどうであれ―――…」
「それは―――…。
だけど、あれは致し方のないことだったんだ。
君たち親子が生き延びるためには―――…」
「はい。だからです」
きっぱりと松下の目を見たまま、深青は言い放った。
そんな深青に圧倒され、松下は何も言えなくなってしまった。
「松下さんには、本当に感謝しています。
今、こうやって家族で穏やかに過ごさせてもらっているのは、松下さんたちが裏で手を回してくださったから。
でも、だからこそ、私はお引き受けすることができません。
引き受けてしまったことで、私の存在がばれてしまっては、元も子もありませんから」
「すみません…」と深青は頭を下げた。
そんな深青を寂しそうな目で見る松下。
「深青ちゃん。
私は深青ちゃんがそうやって断るだろうということは予想してたんだ」
「え……?」
「できれば、私も深青ちゃんの手は煩わせたくなかった。
深青ちゃんが言うとおり、君たちの存在を漏らすことになるのではと危惧した」
「松下さん………」
神妙な松下に、深青ははっきりと断ってしまった自分のことを、悔やむ。
悔やんだところで、それを呑むことはできないのだが―――…