KISS AND SAY GOOD-BYE
『モシモ~シ!
桧山君、今どこだい?』
「お疲れさまです。
今は、3階に居ますが、エレベーターが来ましたので、それに乗るところです。」
『分かった!
1階ロビーで待ってる。』
一旦、電話を切ってからエレベーターに乗り込んだ。
直ぐに1階に到着したエレベーターから降りて、ロビーに向かった。
「お待たせしました。
安川係長、如何でしたか?」
『坂元プロデューサーにお願いしたんだけどねぇ、音楽番組って最近特に低迷しているからねぇ、視聴率の取れるジェームス事務所のイケメングループとか、篠田企画みたいなビジュアル系バンドなら良いんだけど、無名のメジャーデビューしていない留学生なんてお呼びじゃないって言われたよ。
桧山君はどうだったんだい!?』
「とりあえずは保留です。」
『やっぱしダメだったか……。』
「ダメだって言う訳じゃないんですが、引き抜かれそうになりましたよ。」
『どう言うことなんだい!?』
「先程会ってきたのは、2年前に私がひまわりテレビでバイトをしていた時にお世話になったプロデューサーなんですが、その人が私ともう一度一緒に仕事をしたいって言うか、そのプロデューサーのアシスタントとして働かないかって言ってきたんです。」
『引き抜きかい!?』
「まぁ、冗談で言ってきたと思うので、此方も謙遜した振りでお断りしてきました。」
『なかなかやるな桧山君は。』
「いえいえ、それで、お断りしたら、今度は留学生を使ってあげるから、留学生がやって面白くて視聴率の取れる新番組の企画提案書を持ってきてくれたら、それが本当に面白そうならプロデューサーの名前で企画会議に通して貰えるそうです。
そして、その企画が通れば新星MUSICの留学生達と一緒に番組をやってくれるそうですが、それに対しても条件が付いてて、現場マネージャーとして私が同行して行き、尚且つ現場ではそのプロデューサーのAPとして私も番組制作に当たらなくてはいけないそうなんです。
それが出来るなら、留学生達を1クールの間、出演させられるでしょし、視聴率が取れるならその後も2クール、3クールと延長もありうると言うのです。」
『それって、アルバイトの域を越えてるし、マネージャーとしての域をも越えてるよなぁ。』
「って言うか、わたしがひまわりテレビのスタッフにも成ってしまいます。」
『よっぽど、そのプロデューサーに気に入られたんだな!』
「ハハハ……。
それでですね、私の一存じゃ決められませんので、社に戻り上司と相談してお返事します。って言う事になったんです。」
『それで、保留って言う事なんだね。』
「はい。
一応、社長に聞いてみないと、番組フォーマット権の問題も有りましたので。
ひまわりテレビとしても、私の書いた新番組の企画提案書を預かった時点で、遣るにしても遣らないにしても、その時点で確約書を提出してくれるとまで言ってますので。
まぁ、私の考える企画提案書がそんなに簡単に通るとも思ってませんけどね。」
『お前、凄いなぁ。
まだ高校生なのに。
で、桧山君の頭の中にはある程度の企画案は出来上がっているのかい!?』
「まぁ、7割方は構想中のが有るんですが、イマイチ何かしら物足りなさも有るんで、もう少し詰めていかないとはいけないと思います。」
兎に角、安川係長は、この高校生、桧山隆一と言う男に興味を持ち出していた。