KISS AND SAY GOOD-BYE
会社に戻る前に、もう一ヶ所寄る事になった。
遣ってきたのは、新宿ではちょっと名の知れたショーパブ【ROWDY ANGEL】
まぁ、和訳すると暴れん坊な天使ってなるんだけど、このお店の出し物は、売れる前の芸人とか、どさ回りの歌手から、はたまたストリートミュージシャンから、ストリートダンサーまで幅広く出演しており、毎月オーディションに通った人達だけがステージに立てるのだ。
勿論、ギャラも発生する。
しかし、このお店は、メジャーになるための登竜門とさえ言われ、ここ出身の有名人も少なくないのである。
と言うより、このお店のステージに立つと売れる!とさえ言われているのだ。
今日は、その月に1度のオーディションを行っている日で、昼過ぎから受付が始まっているのだ。
今日は、そのオーディション担当者に会って、オーディションを受けさせて貰えるか頼みに行くのだそうだ。
誰でもこのお店のオーディションを受けられると言う訳では無いのだそうだ。
ある程度のレベルまでは行っていないと、オーディションに来てもらうだけでも時間の無駄だし、店側としても、そんな時間の余裕は無いそうだ。
店内に入ると、既に数名のオーディション参加者が来ていた。
その店の支配人と思われる人が此方に遣ってきた。
『すみません。小笠原支配人でございますか?』
【えぇ、そうですが、どちら様でしょうか?】
『私共は、新星MUSICと申しますが、本日アポイントを取っておりました安川と申します。』
と言って名刺を差し出した。
小笠原支配人も、それに併せて名刺を交換する。
【はい、確かにお伺いしております。
どうぞ此方へ!】
と言って一番広いソファーの所まで来て、小笠原支配人に促されて座る俺達。
テーブルを挟んで支配人が向かい側に座った。
【それで、ご用件はそちらのタレントをうちの店でショーをさせて欲しいと言う事で宜しいですか!?】
『タレントって言うか、まだデビューしてないんです。
韓国から遣って来て、未だ9ヶ月半なんですが、実力は保証しますので来月のオーディションに参加させて貰えないでしょうか!?』
【素人ですかぁ~…。
まぁ、うちの店でショーをしているのは殆ど素人ですが、レベルはそうとう高いですよ。
で、どんなパフォーマンスを見せて頂けるんですか!?】
『歌とダンスや芝居などができます。』
【具体的にはどのような……!?】
なかなかシビアな話が続いているので、俺は静かに隣に座って傍観していた。