KISS AND SAY GOOD-BYE
立ち並ぶ模擬店で、たこ焼きとスィートポテトとジュースを買って、持ってきた二人用のブルーシートを拡げた。
一際赤い【蝶千鳥】と言う種類の梅を眺めながら、たこ焼きを一口、口の中に放り込む。
「あふ~いよ!(熱いよ)」
『もう、リュウったら子供みたいに!
慌てなくても誰も取らないから、落ち着いて食べないとヤケドするわよ!』
「あ~ぁ!
死ぬかと思った!」
『もう大袈裟ね!』
「このジャンボたこ焼きは、1口で食べるとヤバイよ!
ビックリした~!」
『涙目になってるよ!?』
「ハハハ……。
それにしても良い天気だよなぁ。
こんなにノンビリと過ごすのも久しぶりだし。
そう言えば、皆大学合格したって聞いた?」
『聞いた聞いた!
進学クラス全員合格したって。
いよいよ大学生かぁ。
リュウと出会って、アッと言う間の3年間だったような気がするわ。』
「俺も!
そう言えば、成山も専門学校に行くって!?」
『うん、何でも絵本作家の養成スクールみたいなところに行くって言ってたわ。』
「頑張っているんだな。」
『頑張っているって言えば、直美ヤッパリお笑いに進んだわよ。』
「エッ、マジで!?」
『お笑い芸人になるわよ!って言って、Y本NSCに願書出して、来週からNSC東京校だって!』
「柘植は、ヤッパリそっち系に進むと思ってはいたけど、いつかテレビで見られるんだろうか?」
『彼女は、面白いから直ぐに売れるわよ。』
「俺達が大学卒業する迄の間、新星MUSICでバイトしていたら、直美と仕事で絡むことも有るかもな!?」
『そしたら面白いんだけど、あの世界ってかなり大変なんでしょ!
なかなか食べていけない世界だって聴いたけど、直美生活大丈夫かしら!?』
「あいつの家とNSC東京校って目と鼻の先だから、実家暮らしだと思うよ。
あいつん家、金持ちだし、心配ないだろう。
それより心配なのは、他の同期生だよ。
あんだけ煩いおんなも珍しいから、最初は面白いかも知れないけど、毎日だとキツいぞ!」
『あら、直美は授業中は凄く真面目だよ。
まぁ、休み時間は凄いけど…。』
「だろう!?
皆、それぞれの道に向かってるんだよなぁ。」
『川田君と松山君は?』
「二人もと実家に就職だよ。
川田んところは自動車整備の会社だし、松山んところはオートバイ屋さんだからね。」
『そうだったわね。
明後日はいよいよ卒業式だね。
なんか、寂しいわね…。』
綺麗に咲き誇った梅の花を眺めながら、美華がポツンと呟いた。
春の訪れを告げる様な、暖かい風がサァ~っと駆け抜けていった気がした!