とある堕天使のモノガタリⅢ ~ARCADIA~






「稽古か彼女かどっちかにしろ!」



「…右京さんならどっち?」



「彼女に決まってんだろ。」



「出たよ…この人には愚問だって…」



「うるせーな…俺の世界は彼女を中心に回ってんだよ!」




「どんだけだよ…」と声を揃えて言う門下生を怒鳴り飛ばす。




やっと夜間の稽古が終わり、ちらほらと門下生も帰り出す。



「右京さーん!これから飲みに行きませんか?」



「今日はバイトあるから無理だな…」



「バイト?これから?…ホストかなんかっすか?」



「んなわけねーだろ…ただのクラブのウェイターだよ。」



クラブと聞いて「そこで飲もう!」と言い出し結局一緒に行く羽目になった。



「用意して来るから上がって待ってて。」



そう言いながら自分の部屋を開けるとベットの上で雑誌を見ている忍と目が合う。




無言でそのままドアを閉めた右京を門下生の二人が首を傾げた。



「…ちょっと待ってて…」



右京は二人を廊下に置いて部屋の中に入ると忍を引っ張り起こした。



「なッ…何よ!」



「野郎が来るから自分の部屋に戻ってて。」



「はぁ?」



忍の背中をズイズイと押してドアを開けると、出て来た右京達を見て門下生の二人が固まる。



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