とある堕天使のモノガタリⅢ
~ARCADIA~
勘違いしたらしい女は熱い視線を投げて来て、思わずガクに助けを求めてチラッと見る。
彼は軽く肩を竦めただけだった。
「おい!…お前、この女は俺の女だ!」
ジンヤが言ってた連中の一人が女の後ろに来ると下から右京を睨んだ。
「…あっそ。じゃあ早く連れて帰れよ…鬱陶しい…」
右京の言葉にガクが堪えきれずにプッ!と吹き出した。
「…お前誰に言ってるのか判ってんのか!?」
「お前こそ俺を誰だと思ってんだよ…」
右京の台詞にキレたらしい男は「表に出ろや!」と叫び出した。
右京はニヤリッと笑った。
「どうせならお前のツレも全員表に連れて行けよ。」
カウンターを飛び越える右京をガクが呼び止める。
「死人は出すなよ?」
「…努力する。」
余裕の笑みを浮かべた右京にジンヤは目を輝かせる。
唖然と顔を見合わせる門下の二人は「ヤバイな…」と呟いた。
「マスター…死人出るかも…」
「右京さん、今凄い機嫌悪いっすよ?」
ガクはただ豪快に笑うだけだった。