とある堕天使のモノガタリⅢ ~ARCADIA~




『…さっき…お前が天使に見えた。…光の翼を背負ってみえて、目を奪われた。』




クリスは右京を見て照れたように頭を掻いた。




『一瞬任務中なのを忘れた自分が恥ずかしい…。』




珍しくそんな事を言うクリスに右京は目を丸くした。




意外とプライドの高いクリスからそんな言葉が出て来ると思わなかった。



『クリス…俺を買い被るなよ?いつ化けの皮が剥がれるか解らないんだぜ?』




『安心しろ。これでもプロだ。同じミスは繰り返さない。』




右京は身体を張って自分を助けた。




ならば自分も“その時”は身体を張って右京を助ける。




密かにクリスはそう誓った。




右京はそんなクリスの心意を知ってか知らずか『良かった。』と短く答えた。




ふと右京が足を止めて辺りをキョロキョロと見回す。




…淀んだ空気…




それは結界に足を踏み入れた事を意味していた。



だが、彼が気になっているのはそんな事じゃない。




『…血の匂いだ…』




クリスには感じられないが、右京が嘘を言ってない事は判る。




警戒してホルダーからコルトを抜いた。




右京は『待て』とそれを手で制する。




『これは、バジリスクの血の匂いだ…!』




一体何が…!?




右京に一抹の嫌な予感が過った。





   ◇◇◇◇◇◇◇◇




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