とある堕天使のモノガタリⅢ
~ARCADIA~
『お望みと有らば…普通に頂く事も出来ますが?』
『そうしてくれ…気分が悪いんだ。』
そう言う右京の首にクドラクは手を掛けた。
『かしこまりました。…本当に痛いですよ?』
『気にするな。…喰いたきゃ喰えよ。』
まるで恋人に口づけをする様に、右京の首に牙を突き立てる。
『…ッつ…!!』
─半端ねぇな…!
だがあの奇妙な高揚感よりは何倍もマシだ。
『ああ、ちなみに私達の生殖行為は人間と同じです。…両性ですが。』
『えっ!?』
その言葉に思わずクドラクを突飛ばした。
『なななな…何、両性って!?』
『ですから、私には男女両方の機能があるんです。』
─き…気持ち悪ッ!!
『…人間の女に飽きたらお相手を…』
『いらんわ!!』
『あら…残念です。』
クドラクはクスッと笑いながら姿を消した。
─本気で貞操の危機かもしれない…。
そんな事を考えながらちょっとフラつく足で皆のいる部屋へと戻るのだった。