とある堕天使のモノガタリⅢ
~ARCADIA~
『おっと…!』
難なく身を屈めて避け、尚且つ真横に突き出したバレッタから銀弾をぶっぱなす。
─ギャンッ!!
まるで尻尾を踏まれた犬のような鳴き声が響き、弾け飛んだ灰が月の光を受けてキラキラと舞った…。
『舐めんなよ?野良犬…!』
四方から迫り来るルー・ガルー。
更にバフォメットの鋭い刃を巧みにかわす。
『クリス、加戦しなくて平気か?』
『いらん心配だ。お前は南側を頼む!』
右京にそう返答しながら素早く弾倉を交換し一匹、また一匹と確実に灰にして行く。
─あと5匹…!
伊達にハンターを名乗ってる訳じゃない。
最後のルー・ガルーを仕留めると銃の遊底でバフォメットの頬を殴りつけた。
─…なんだ!?
ガッ!!と鈍い音はしたがその感触にクリスは違和感を感じた。
微かによろめいたバフォメットの眉間に銃口を突き付け引き金を引いた。
─ズガァァァァン!!
ゼロ距離から打ち出された銀弾が確実にバフォメットを貫いた。
闇に融けるように黒い霧と共に消える怪物。
そしてクリスは右京に向かって静かに声を発した。
『…右京。こっちの山羊は“フェイク”だ!』
◇◇◇◇◇◇◇◇