とある堕天使のモノガタリⅢ
~ARCADIA~
─逃げる気か!?
まるで遠吠えのような雄叫びを上げるバフォメットに向かって折れた日本刀を振りかぶった。
『逃がさねぇッて…の!』
外壁に突き刺さった日本刀を見て嘲笑うかのようにバフォメットはコロッセオへと飛び込んで行った。
右京は猛ダッシュをすると一歩目で壁を、二歩目で刀の柄に足を乗せ、一気に外壁の上まで駆け上がる。
『右京!!』
クリスに呼ばれ振り返ると、何処から湧いたのかルー・ガルーが群れを成して近付いて来るのが見えた。
『クリス、そっちは頼んだ!』
そう言い残して右京はコロッセオに入って行った。
─アイツ…笑ってた?
この修羅場のような状況を楽しんでるかのような右京にクリスは眉を寄せる。
─嫌な予感がする。
が、まずは自分を取り囲むルー・ガルーを片付ける方が先か…。
先ほどより数が数段多い。
クリスは『やれやれ』と呟くと、バレッタとコルトの愛銃を両手に構えた。
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