とある堕天使のモノガタリⅢ
~ARCADIA~
右京は忍の頬を伝う涙を指ですくう。
─その想いが強すぎて自分を犠牲にしてしまう事も知ってるから…。
暖かい程優しい彼女の思考が触れた指から流れ込む。
「犠牲…か。そうかもしれない。」
「私を置いて死んだりしたら許さないから!」
「絶対しない。約束したろ?」
忍は長い睫毛を伏せて「良かった」と呟いた。
右京はそんな忍を眺めながら彼女の艶やかな髪に指を滑らせた。
「俺、最近思うんだけど、人を好きなのは忍が人だからかもしれない…」
自分の髪の毛を弄ぶ右京に忍は首を傾げる。
「お前がバフォメットなら多分バフォメットの味方してたかも。」
「ぷっ…なんかそれヤダ!!」
やっと笑った忍を見て右京もクスッと笑った。
身を寄せて腕の中にすっぽり填まった忍をギュッと抱きしめる。
「小せぇなぁ…」
「…右京からしたらほとんどの人が小さいよ…」
「…こんな小せぇのにお前の存在って凄いデカイ。」
自分の背中を押すのも、自分を包み込むのもいつも忍。
「大好きだよ…」
「ん…知ってる…」
背中に回された忍の腕に少し力加わった気がした…。
◇◇◇◇◇◇◇◇