とある堕天使のモノガタリⅢ ~ARCADIA~
第二章

セントルシア





早朝の空気が冷たく感じ、ウキョウは布団の中で少し身震いする。



なんとなく幸せな夢を見ていた気がするが、目が覚めた時にはその内容を思い出せず残念な気持ちになった。



ぼんやり目が開けて天井を見つめ、夢の記憶を辿る。



“…ウキョウ…起きて…”



そう言う心地よい声に起こされた様な気がしたのだ。



少し高めのその声が好きだった。



─彼女は何て言ってたっけ…



もう一度目を閉じて夢を思い出す…



頬に触れるサワサワとした感覚…



そう、彼女の髪だ。



─夢の中で俺は手を伸ばして…



…彼女を引き寄せたんだ…




そこまで思い出して鼓動が若干早くなっている事に気付いた。



上体を起こして額に手を当てる。




『…なんだ…この感じ…』



彼女の事を思い出そうとすると、胸が苦しくなる…。



ウキョウは深呼吸をして布団から出ようとした時、バンッ!と勢い良く部屋の扉が開いた。



『いつまで寝てるつもり!?兄さんはもう…』



そこまで言ってミーシャはウキョウを見て硬直した。



『おはよう…ミーシャ。…どうした?』


『なっ…なんで裸なのよ!す…少しは気を使いなさいよね!』



首を傾げるウキョウにミーシャが動揺しながらまくし立てると、勢い良く扉を閉じた。



それを見てウキョウは『そりゃこっちの台詞だし…』と呟いて小さく笑った。



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