そばにいて

手紙〜薫子〜








東雲辰巳様。







この手紙を書くことは龍之介と話して決めました。

面と向かって話した方がいいとも思ったが、手紙の方が伝えやすいと思って手紙にした。








私は辰巳に助けてもらわなければ、一生あの地下から出れなかった。青い空も白い雲も冷たい雨も雪も何もかも見ることも感じることもできないと思っていた。




そして、龍之介とも逢えないまま死んでいくんだと諦めていた。でも、辰巳が私を見つけてくれた。ありがとう。






私は50年前の事件を受け止めているつもりだ。龍之介がそばにいる。それだけで充分だと思ったんだ。それでけで悔いは消えたんだ。






おかしいだろ?







私は父が私のせいで自殺してしまったことがずっと心に重荷になっていた。でもな、逆にそれだけ私を愛してくれていることに感謝した。



私も父と同じように子を愛し続けれる母になりたいと思った。

もう叶わない夢だが。







だから、辰巳が変わりに私の夢を叶えてくれないか?








父となり子を愛し、また妻となる人も愛し、幸せな家庭をつくって下さい。勝手だけど私の夢は貴方に託します。







私は残り少ない命でも龍之介と添い遂げることを嬉しく思っています。


今の私にとっての一番の幸福。








辰巳。愛する人と再会させてくれてありがとう。また一緒にいれて本当に私は幸せ者だ。








私に、私達に、また幸せの時間を与えてくれて本当にありがとう。








貴方も愛する人と幸福な時を過ごせることを願います。













東雲薫子











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