狼は王子様!?
「さぁ美麗ちゃん。おばさんがべっぴんさんにしてあげよう」「お化粧嫌ぁ!」
「はいはい、大人しくね」
聞いちゃいない。
でも逃げたらまた捕まるんだし今度はお母さんに何されるか。じっとしてるの嫌い。
「美麗ちゃんは女の子なんだから、もうちょっとおしとやかにならなきゃダメよ」
「どうして? そんなこと誰が決めたの? 何でどうして?」「目閉じて」
しぶしぶ目を瞑る。
大人はみんなそう。女の子なんだからとか、おしとやかにとか言うくせに、理由を聞かれるとみんな黙っちゃうんだ。
男なら泣くなとか、こんな面倒くさいこと誰が決めたわけ! 私はその人を恨むよ。
「次はお洋服だね。可愛いのを作ったんだよ」
なんか顔がキツい感じがする。仕方なくおばさんのところに行くと、赤い着物が……。
可愛いけど着たくない。
「さっ、いらっしゃい」
私は服を脱がされ、何枚もの薄い下着みたいなやつを着せられて、赤の着物とか帯とか……。苦しい、キツい、脱ぎたい!
「あらあ、可愛らしい。まるでお人形さんみたいに可愛いわ」そんな褒め言葉いらないよ。
椅子に座ってじっと鏡をみる。私のはずなのに見慣れない女の子がこっちを嫌そうに見てる。
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