となりの女の子
そんな言われようの寛太だが、
実は、どうしてどうして、
学校では颯太と人気を二分にしていた。


ただでさえ双子というのは話題になりやすいもの。

そこに、勉強もスポーツも難なくこなす颯太の評価は高いもので、
言わば“高嶺の花”的な存在だった。

となると、

外見がそっくりでスポーツ万能な、見るからに元気いっぱいの寛太も注目されて当然のことで…

その方程式に気付かないほど馬鹿ではない寛太は、
誰が何と言ってこようが

“どうせ颯太の身代わりだ”

と決めつけ、本気にとることも、その気になって自惚れることもなかった。


何しろ野球に夢中で、仲間との時間を一番大切に考える寛太に、
今はまだ恋愛など縁遠いコトで…

そんな寛太に心から想いを寄せる女子にとっては、少し酷な話であろう。

一方、

寛太よりも優しく見られ、普通に話し掛けやすい颯太も、

“周りが騒ぐのは自分が寛太の双子の兄だからだ”

と解釈し、自分がモテていると鼻に掛けることはなかった。


この謙虚さがコンプレックスの根源となっているのだろうが、こればかりは性格だから仕方がないのだ。


もちろん、どこの双子もこうだとは限らない。

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