となりの女の子
「お、おう、大竹。」

「ど、どうした?」

「見ろよ!寛太の分身に異変だぞ。」

「は?」

「女とラブラブだよ。」


そう言って、親指を立てた左手で後ろを指さした大竹の顔は、少しだけニヤけていた。


指を差した方向には小さな公園があり…
そう、大竹は電信柱に抱きついていたのではなく、公園での颯太の様子を隠れて覗き見ていたのである。


寛太は一つため息をつき、

「どーでもイーよ。」

と、そのまま歩き出す。


「あ…」

「ちょちょちょっ…」


つられて歩く菊地と大竹も、無言で公園の横を通り過ぎていく。


「…なんか、不自然じゃね?」

「なにが?」

「誰も何も話さないってさ…」

「あぁそうだ。大竹、菊地がおまえに文句があるってよ。」

「はぁ?」

「え?なに?」

「え、あ、いや…」

「じゃな。」

「あ、おい!寛太!」

「文句って?」

「だからその…」

「ん?」

「おまえさ、遠投の練習しろや!…じゃあな!」

「はぁ?!」


こうしてエースは取り残された。

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