となりの女の子
そんなある日、

「ねぇ!」

階段を駈け上る寛太を呼び止める声がして、

「あ?」

振り返ると、隣のクラスの女子が居た。


「…あのさ、聞いてんでしょ?」


何故か質問するのに目を反らす、その女子の名が高見優菜だと……寛太が知るのは暫く後になってのこととなる。


「え?…何を?」

「だって大竹が言ってたよ。あんたも見てたって…」

「は?」

「公園で私が日沼兄と一緒に居るところ…」

「…あ〜。アレ、おまえかぁ。」

「!?」

「大丈夫。俺、何も聞いてないし誰にも言ってないから。つーか、俺らあんまり話さないから気にすんな!お互いに関心無くてさ。」

「…」

「あ、ただ、大竹に見られたのはついてなかったな。つーか、なんだよアイツ、言うなっつったのに…」

「どーゆーこと?」

「アイツ口軽いからぁ。でも俺と颯太とは関係ないから、どうぞどうぞ、ご心配なく!」

「え?じゃあ、大竹もそう思ってるってこと?」

「…え?」

「私が日沼兄を好きだって?」

「あれ?違った?」

「やだ…」

「えぇ!…もしかして、大竹?」

「違うからっ!」


この呆れる程に鈍感なのは、どうにかならないものだろうか?

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