となりの女の子
その夜、

寝ようと二階に上がって来た颯太は、ちょうど部屋のドアを開けた寛太を見るなり言った。


「“帰り道はどーゆー感じだったの?”」

「!」

「って聞かれたけど…おまえ、なに言った?」

「あ…」

「親に喋るって、どーゆー神経だよ?マザコンか?」

「ナンも言ってねーよ。つーか、大竹に見られてっから、その方がヤバイと思うけど。」

「…」

「場所を考えろって話だよ。」

「あっちから声かけてきたんだ、そんなもん知るかよ。」

「ほー、それはそれは。」

「ま、俺には関係ないけど。」

「…冷てー男なんだなぁ。」

「まーな。関係あるのは俺じゃないから。」

「は?」

「じゃ。」


そう言って部屋に入っていく颯太の背中に、

「なんだ?ワケわかんね…」

と、呟きながらトイレに入る寛太だったが、

(フッ、強がりやがって…しょうがねぇ、口止めしといてやるかぁ?)

極々、ほんのたまに見せる兄弟愛で、

「あ、大竹?あのさ、公園のことなんだけどさ…」

黙っててくれるよう、電話で頼むのだった。


翌朝、母親もアレ以上は何も聞いてこないし、
学校でも穏やかな時間が流れていった。

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