となりの女の子
颯太が所属する水泳部の“総合体育大会”いわゆる総体での結果といえば…
メダルを獲得する人材は出なかったものの、接戦の末、4位という成績を納めた部員が最高の記録となった。

颯太も自己ベストを出すことを目標に最後のレースに挑み、達成したものの順位で名を轟かせることはなく…中学時代の青春の1ページとして想い出に刻んだ。

そして、それ以降の大会には参加せず、受験勉強に専念することを決意した。


それぞれ各部も学校や個人の名を背負って参加した大会にて、良くも悪くも得ることの出来た結果・成績を記憶や胸に留めて後輩へとバトンを渡し…受験に向け気持ちを切り替えるよう指導されながら、中学生活最後の夏休みへと突入するのだった。


颯太は塾や家で勉強に一段と精を出し、
さすがの寛太も同じ中学の生徒も多い近所の塾へと通うことにした。

しかし、学校の延長のように友達との会話が絶えず、受講後も寄り道をして、いつまでも家に帰ってこないなんてコトが続き…

「分かってる?塾は勉強に行く所なんだからね!お金払って遊びに行かせてるんじゃないのよ!」

「息抜きしただけだよ!」

「息抜きの方が長いでしょ!?」

まだ“受験”について深刻に考えられないのか、勉強の仕方が分からないのか…
勉強癖が付いていない寛太にとって、長時間じっと机に向かうということは地獄にあたいするのだろう。


慣れない勉強の気分転換にと散歩へ出かける寛太。

気付けば勝手に足が学校へと向かっていた。


午前と午後を野球部とサッカー部が交互に使うグラウンド。

サッカー部の練習時には安心してその周りを歩けるのだが…
いつもの聞き慣れた声出しや金属バットから放たれる音には敏感に反応し慌ててひき返す自分がいた。


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