となりの女の子
となりの双子
日沼家の双子が小学6年生になると、母親の怜子は町の病院で看護師の仕事に復帰した。


「怜子さんは良いですね…やっぱり手に職ですよね…」

「ちひろちゃんは若いんだから、これから幾らだって勉強できるわよ!」

「なーんか、まだ何も考えられないなぁ…育児だけでいっぱいいっぱい!」

「たまにはご主人の相手してあげないと、スネちゃうんじゃないのぉ?」

「って言うか、あの人こそ葵一筋で、私はソノ次ですから!」

「女の子のパパは皆そーゆーものらしわよ。頑張って次は男の子なんてどう?ママを大事にしてくれて、可愛いわよぉ。」

「ん…まだ、暫くはイーかなぁ」

「あはは。」


葵も2歳になり、ちひろもだいぶ“ママ”らしくなってきていた。


料理の手際も良くなり、夏休み中の怜子の仕事の日の双子達は、藤原家にて、ちひろの手料理と怜子の差し入れで済ますことが決められていた。


友達との約束が無ければ、そのまま葵と遊んでくれることもあり…

「怜子さん!コレ見て下さい!」

「ん?なに?…いやっ!」

「可愛いーでしょ!?颯ちゃんは嘘眠りだけどね。学校のプールで疲れて居眠りしてる寛ちゃんの隣で葵が寝転がってるなぁと思ったら、いつの間にか眠っちゃったみたいで…写真撮ろうとしたら、颯ちゃんが“俺も!”ってね。」

「きっと嫉妬だわね。ほら、前に撮った二人が寝てる写真、あれがリビングに飾ってあるから。」

「葵ったら、両手に花ですね!」

「花じゃないわね。猿って感じ?まだ野獣じゃないだけ良いでしょ?」

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