鉄の救世主(くろがねのメシア)
とある避難所。

「ご無沙汰しています」

豊田が訪れた先には、一人の老婆がいた。

「ああ、あの時の…!」

老婆が嬉しそうに目を細める。

橋が隕石の被害によって崩れ落ち、対岸に置き去りにされていたのを豊田が背負って渡河した、あの時の老婆だった。

「忙しいのに、わざわざ様子を見に来てくれたんだねぇ…ありがとうねぇ」

まるで孫娘を相手するように、老婆は豊田の頭を撫でる。

子供扱い。

けれど老婆の優しい手が、豊田は決して嫌ではなかった。

「あんたみたいな優しい娘さんは、きっといい旦那さんもらえるだろうねぇ」

「え…あ…いやっ…そのっ」

鋼の精神を持つ不屈の戦術自衛隊員も、年頃の娘。

老婆にそんな風にからかわれ、豊田は俯いたまま赤面した。

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