鉄の救世主(くろがねのメシア)
被害を受けているのは中心街だけではない。

隕石落着時の破片や残骸によって、周辺の街にも火災や建物崩落などの影響が出ている。

怪我人も多数いるとの情報が入っていた。

小川達が向かうのは、隕石落着現場より数キロ離れた市街地だった。

…落着時の影響で舞い上がった粉塵が太陽さえも遮り、薄闇の如き暗さになっている。

そんな中をチヌークは着陸し、戦術陸上自衛隊の隊員達を下ろす。

「…何て事だ…」

粉塵を吸い込まないようにガスマスクを装備して地上に降り立った小川が、息を飲んだ。

ここは落着現場より数キロ離れている。

にもかかわらず多くの場所で火災が発生し、黒煙を上げている。

落着の衝撃なのか、各所で停電も相次ぎ、信号機まで停止した影響で車道の至る所で交通事故を誘発。

まるでここが落着現場のような混乱と被害をもたらしていた。

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