鉄の救世主(くろがねのメシア)
小川が豊田達とは別行動でこの任務に就いているのには訳がある。

…彼女らはまだ歳若い。

同じ戦術自衛隊の隊員として分け隔てなく扱わなければならないのだろうし、決して特別扱いするつもりはない。

力仕事だろうが危険な任務だろうが、これまで小川は加減する事なく豊田達にも任せてきた。

しかし今回だけは…人の死に直面する事になるこの任務だけは、まだ若い女性の豊田達にはさせたくなかった。

志願して戦術自衛隊に入隊してきたのだから、遠慮は要らないと言われればそうかもしれない。

だが重ね重ね言うようだが、隊員とて人の子だ。

死に直面する事は大きな痛みを伴う。

経験の浅い二人に、そんな苦しみを背負わせる必要はないのではないか。

朴訥で不器用な、小川なりの配慮だった。

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