KURUMI
そいつはいつもあたしより早くここに居る。
「せんぱい!」
笑顔で手を挙げるその子。
そして駆け寄る、大きな身体。
そのお陰で影が出来て
暑苦しい太陽の日差しから
あたしを守ってくれた。
「あ、またバックごと持ってきたー」
あたしは校内を歩く時、
荷物を全部入れたスクールバックを
持ち歩くようにしてる。
おかげで物が無くなる数が減った。
でも重い。
まったく…
誰のせいだと思ってんだか。
そう言ってやろうとしたけど
口を噤んで、抑えた。
言っても無駄。
こいつはなんともノーテンキで
鈍感でメンドクサイ。
「昼、買ってきたの?」
何言ってんの?
教科書拾ってたの。
どうせ見てたんでしょ?
これも、口には出さなかった。