忠犬彼氏。


「おい青田、お前今最高に顔色悪いぜ?」

「し、知らないし」

「何言ってんだよ、体調悪いんじゃないのか?」

「悪くない!放っておいてよ!!」

「嘘つくなよ」

私は言葉に詰まった。
彼の、樋山の瞳があまりにも真っ直ぐで……。

「嘘、なんだろ」

「……」

「なぁ、俺頼りにならないだろうけど、言うだけでも言ってみろよ」

彼の想いが伝わる。
だけどそれは私には重すぎる。

「無理」

「無理なもんか、言えよ」

「……言ってもあんたなんかにわかるわけないし」

わかってほしくもないし。
だから放っておいてほしい。

「わからなくても言うだけで少し違うんだぞ!?」

「そんなの知らない」

「知らないじゃなくてな」

「アンタいい加減しつこいんだよ!」

本当にお節介。

< 127 / 204 >

この作品をシェア

pagetop