忠犬彼氏。
「青田……」
「気安く私の名前呼ばないで」
「なんだよ……少し仲良くなれたかと思ったのに……」
仲良くなんてなった覚えない。
本当に、ありがた迷惑。
「じゃあこのアドレス誰、って聞いたらわかる訳!?」
わからなかったらもう関わらないで
そう付け足し画面を見せた。
「これ……」
樋山は慌てて自分携帯を出して確認し始めた。
「やっぱり……」
「まさか、知ってんの……?」
「これ、俺の妹……」
「は?」
樋山の妹?
「知り合い、だったのか?」
「知らない」
樋山の妹なんて見たことも聞いたこともない。
でもそれなら何故?
「妹、稟汰と同い年でな、だから何か知り合っててもおかしくねぇなって」
待って?樋山の苗字って……。
「樋山って樋山だよね?」
「当たり前だろ」
樋山、樋山……。
『樋山紗耶香です』
「紗耶、ちゃん?」