三人だけの誕生日会
三人だけの誕生日会
『ごめんね。母さん馬鹿だからね』


そう言って僕を抱きしめたお母さんの頬から流れ落ちた涙が、僕のTシャツの右肩を濡らして行った。


『さぁ、二人ともご飯にしよ。せっかく母さんが作ってくれたカレーが冷めちゃうよ。健太もそんな汚れた服を着替えて。』


テーブルがわりのコタツにカレーライスを並べながら兄さんは努めて明るい声でそう言葉をかけて来た。


『そうだね。せっかく健太の大好きなカレー作ったんだもんね。食べよね。』


抱きしめていた手を離し、流れ落ちていた涙を右手の甲で拭いながらお母さんは立ち上がった。
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