チャリパイ14~最後のサムライ!
イベリコが宮殿の前でチャリパイの四人と決別したあの日から、もう既に二週間が経過していた。
チャリパイの作戦の事など全く知らないイベリコは、もうあの四人が今更自分を助けに来るとは思っていなかった。
しかしその事に対して、約束を破ったとチャリパイを非難する気持ちなどは毛頭無い。
今の宮殿の厳重な警備を考えればそれは仕方がない事であり、二週間も経った今頃は、チャリパイの四人は既に日本へと帰国しているのであろうと、イベリコは理解していた。
そんな事を考えながら、窓の外を遠い目をして眺めていたイベリコの耳に、うざったいブタフィの声が入ってくる。
「姫、何をぼんやりしているんです!私の話をちゃんと聞いているんですか?」
言うまでもなく、ブタフィは毎日のようにイベリコに会いに部屋へとやって来ていた。
ただ、最初の頃のように愛だの恋だのと、見えすいた言葉を並べてイベリコを口説くような事はしなくなった。
「イベリコ姫、貴女は王室の人間なのです!その王室の婚姻は、国益を伴うものでなければならない!
その点、私とイベリコ姫の組み合わせなら申し分ない!イベリコ姫の持つカリスマ的な人望と、そして私の軍の圧倒的な力!それがひとつになってこそ、この国の政権は強大無比なものとなるのです!」
まるで選挙演説のようなブタフィの主張に、イベリコは冷めた表情で反論する。
「ブタフィ将軍……アナタの主張は、すべて自分の権力を磐石にする為の手段にしか聞こえません……国益とは、この国に住むすべての民の幸せ。私には、アナタがその為に尽力するとは到底思えません」
.