チャリパイ14~最後のサムライ!
「いやぁ~完璧な変装だと思ったんだけどなぁ~♪」
「まったく、いつもどこか抜けてるんだから!それでよく探偵が務まるわねっ!」
(一体何なんだこの者達は……いきなり現れたと思ったら、今度は内輪もめを始めたおって……)
さっぱり訳が分からないという顔で、今夜の王室の予定が記された書類に目を通し始めてしまったトンソーク。
そっちはそっちで勝手にやらせて置けば良い……どうせ大した用事でも無いのだろうといった感じだ。
「ブタリア軍には女性兵士がいないなんて知らなかったよ……イベリコは知ってた?」
「いえ、私も軍の事はあまり知らなくて……」
(ん?……イベリコ?)
書類の文字を追うトンソークの目が、ピタリと止まった。
今の声には、トンソークにも聞き覚えがあった。それに、目の前のこの男は、確かに後ろに立っている女の事を『イベリコ』と呼んだように聞こえた。
「そこの女!サングラスを取って、こちらに顔を見せなさい!」
思わず顔を上げて、トンソークはイベリコに向かってそう命じた。
自室で四六時中軍の監視下に置かれているイベリコ姫が、簡単に部屋を出てこの場所に現れる事など、よもやあり得ないのだ。
しかし、あり得ない事は現実に目の前で起こっていた。
「さすが、爺の目はごまかせないわね♪」
サングラスを外し、にっこりと微笑んだその顔は、間違えようの無いイベリコ本人であった。
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