甘い笑顔のキミ

なんでそんなに普通にいられるの?

なんでそんなに余裕があるの?

………私はどきどきしっぱなしなのに…。
いつ彼女ができてしまうかが気になって
余裕なんか持てたことないのに……。


「…藤崎さん?」


気づけば私は作業する手を止めていて、
相川くんは立ち上がって私の顔を覗き込むようにしていた。

「…っ!?」

思っていたよりも近い距離に、
またさっきのことが思い出されて
顔がすぐに赤くなる。

思わずパッと顔をそらすと
相川くんがムスッとした表情をした。

「…なんで顔そらすの?」

そう言って再び顔を覗き込もうとする相川くんから、逃げるように顔を俯かせた。

「…藤崎さん?顔そらされると俺、ちょっと悲しいんだけど。」

……そんなこと言われても
今、顔が絶対赤い。

なにがなんだかわからなくなってきて
目にうっすらと涙がにじんでいるのがわかった。

< 74 / 163 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop