NIGHT MOON
見送った朱里は夜月の顔を見て
さっき言った事を頭の中で
リピートさせていた。



環の質問に夜月はためらいなく
付き合ってると答えた事。
実をいうと
夜月のその言葉を聞くまで
朱里は恋人だという
自信が持てなかったのだ。



夜月はホスト。
女を口説いて騙すのは簡単な事で
しかも付き合っているとはいえ
夜月は謎も多い。



もしかしたら自分だけが
恋人だと思い込んでいて
後で勘違いして
遊びだと言われたら
ショックが大きくなる。



だが今やっとその不安が
少し落ち着いた気がした。



「朱里?」



「え…」



「どうした?行くぜ」



「あの…今日仕事は?」



「オフだ。だから今日はお前とずっと居られる」
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